マル暴に女性警察官はいる
結論からいえば、マル暴に女性警察官はいる。
ここでいうマル暴は、一般に暴力団対策を担当する警察官を指す通称であり、全国の警察組織で必ずしも「マル暴」という名称の課が置かれているわけではない。
現在の警察組織では、組織犯罪対策部門や暴力団対策部門などが、暴力団に関係する犯罪の捜査や情報収集、取締りなどを担当している。
警察庁も組織犯罪対策の一環として暴力団対策を位置付けており、女性警察官が暴力団対策の分野でも活動していることを明確にしている。
つまり、「マル暴=男性警察官」というイメージは実態とは異なる。
女性警察官は組織犯罪対策にも配置される
警察官の仕事は性別によって完全に分けられているわけではない。
警視庁は、女性警察官について、本人の能力や希望に応じて刑事、組織犯罪対策、生活安全などの捜査部門をはじめ、さまざまな部門へ積極的に配置していると説明している。
警察庁の白書でも、女性警察官の職域について、強行犯捜査、知能犯捜査、暴力団対策などを含めて、ほぼすべての警察活動に広がっていることが示されている。
したがって、女性警察官が組織犯罪を担当すること自体は珍しい特殊ケースではない。
むしろ現在の警察では、女性警察官を特定の分野だけに限定せず、幅広い職域で活用する方向が明確になっている。
女性のマル暴はどんな仕事をするのか
「マル暴」と聞くと、暴力団事務所への強制捜査や組員への事情聴取など、非常にハードな現場ばかりを想像しやすい。
しかし、組織犯罪捜査はそれだけではない。
暴力団の活動実態を把握するための情報収集、関係者からの聴取、事件の裏付け捜査、犯罪収益の流れの解明、関係部署との情報共有など、非常に幅広い仕事がある。
警察庁の組織犯罪対策部も、暴力団対策だけでなく、薬物・銃器、国際捜査、犯罪収益移転防止などを含めた総合的な組織犯罪対策を担当している。
そのため、女性警察官が担当できる仕事も多岐にわたる。
「体格が大きくないとマル暴になれない」という考え方も正確ではない。
組織犯罪捜査では、体力だけでなく、情報を整理する力、相手の話を聞く力、捜査対象との距離感を保つ能力、証拠を積み上げる能力などが重要になる。
女性だからこそ生きる場面もある
女性警察官が組織犯罪捜査に入る意味は、単純に「女性も男性と同じ仕事ができる」という話だけではない。
例えば、女性が関係する事件や、女性の協力者・被害者から情報を得る場面では、女性警察官がいることが捜査上の選択肢になる。
もちろん、女性だから必ず話を聞き出せるという単純な話ではない。
それでも、捜査対象者との接触方法を複数持てることは、組織として大きな意味を持つ。
警察庁も以前から、女性警察官について、被害者支援などだけでなく、暴力団対策を含む幅広い分野で活躍していると説明している。
「マル暴は強面の男性ばかり」はイメージが先行している
マル暴について語られるとき、「強面」「大柄」「声が大きい」といったイメージが先行しやすい。
確かに、暴力団関係者と接する仕事である以上、現場では高い危機管理能力が求められる。
しかし、外見だけでマル暴の能力を判断することはできない。
組織犯罪捜査は、対象者を威圧することが目的ではない。
むしろ重要なのは、情報を正確に把握し、関係者との接触を管理し、違法行為を証拠によって立証していくことだ。
この視点から見ると、女性警察官がマル暴の仕事をすることは決して不自然ではない。
女性警察官がマル暴になるまで
警察官になった女性が、最初から組織犯罪対策部門に配属されるとは限らない。
警察学校を卒業した後、地域警察などを経験し、その後に刑事部門や組織犯罪対策部門へ進むケースもある。
警視庁も、警察学校卒業後に地域課の交番などを経験した女性警察官が、その後さまざまな部門へ配置される仕組みを説明している。
したがって、女性警察官がマル暴として活動している場合も、そこに至るまでには地域勤務や捜査部門での経験など、複数のキャリアが積み重なっている可能性がある。
警察組織では、女性警察官が刑事課長などの幹部になる例も以前から確認されている。
マル暴の仕事は「腕力勝負」ではない
ここは非常に重要なポイントだ。
暴力団対策という言葉から、どうしても「腕力のある警察官が向いている」と考えがちだが、実際の組織犯罪対策は情報戦の側面が非常に強い。
誰と誰が関係しているのか。
どの会社や人物を経由して資金が動いているのか。
どの事件に同じ人物が関係しているのか。
表面上は別々に見える事件をどうつなげるのか。
こうした情報を積み重ねることで、組織の実態を解明していく。
現在の組織犯罪対策では、匿名・流動型犯罪グループなど新しい形態の犯罪も問題になっており、従来型の暴力団だけを見ていればよいわけではない。
この点からも、マル暴の仕事を「怖そうな男性刑事が暴力団員と対峙する仕事」とだけ考えると、実像をかなり単純化してしまう。
実際に女性のマル暴を見ると驚くかもしれない
もし警察署や警察本部の組織犯罪対策部門で女性警察官を見かけても、それだけで珍しい存在とはいえない。
外見だけでは、その警察官がどの捜査部門に所属しているのか分からないケースも多い。
制服勤務なのか、私服捜査なのかによっても印象は大きく変わる。
特に刑事部門の警察官は、一般人から見れば普通の会社員のように見えることもある。
そのため、「マル暴=いかにも刑事という外見」というイメージそのものが、テレビドラマなどによって作られた部分も大きい。
女性マル暴は今後さらに注目される可能性がある
女性警察官の職域は以前より大きく広がっている。
警察庁は女性警察官について、採用・登用の拡大を進めるとともに、捜査部門や暴力団対策などへの配置を進めてきた。
警視庁も、本人の能力や希望に応じて組織犯罪対策を含む幅広い部門への配置を進めている。
この流れを考えると、「マル暴に女性警察官はいる?」という疑問に対する答えは、明確に「いる」となる。
しかも重要なのは、単に女性警察官が存在するということではない。
暴力団対策を含む組織犯罪捜査そのものが、情報分析、聴取、内偵、証拠収集、犯罪収益の解明など、多様な能力を必要とする仕事になっている点だ。
マル暴のイメージを「強面の男性刑事」だけに限定すると、現在の警察活動の実態を見誤る。
女性警察官も組織犯罪対策の一員として、それぞれの専門性を生かして活動している。
そして、これからのマル暴を考えるうえでは、性別や外見よりも、捜査能力や情報分析能力、現場対応力といった実務面を見ることが重要になる。
